「悩む」と「考える」は違う。
ゴールをイメージし、実現方法を考える。
なりたいこと、やりたいことをありありとイメージし、
実現するための方法を一歩ずつ考えよう。
不安とトラブルは違うと書きました。
そもそも、「考えること」と「悩むこと」は違うのです。
僕は22歳で劇団を旗揚げしました。今と違って、学生劇団からプロを目指すなんて、誰もやっていませんでした。当然、旗揚げの時は、不安でした。
早稲田大学演劇研究会という所にいたのですが、先輩が、僕に、「鴻上、劇団、どうするの?」と聞いてきました。
「今、どうしようか考えているんですよ。旗揚げしたほうがいいのか、やっていけるのか……」
と答えると、その先輩は、
「考えてないじゃん、悩んでるんだろう」
と言いました。えっ? という顔をすると、先輩は、
「考えることと悩むことは違うよ。考えるっていうのは、劇団を旗揚げして、やっていけるのかどうか――じゃあ、まず、今の日本の演劇状況を調べてみよう。自分がやりたい芝居と似たような劇団はあるのか、似たような劇団があれば、どれぐらいのお客さんが入っているのか、自分の書く台本は演劇界の中でどれぐらいの水準なのか――そういうことをあれこれ思うのを考えるって言うんだよ。当然、調べたり、人に聞いたりもするよね。悩むってのは、『劇団の旗揚げ、うまくいくかなあ……どうかなあ……どうだろうなあ……』ってウダウダすることだよ。長い間悩んでも、なんの結論も出ないし、アイデアも進んでないだろ。考える場合は違うよ。長時間考えれば、いろんなアイデアも出るし、意見もたまる。な、悩むことと考えることは違うんだよ」これもまた、目からウロコのアドバイスでした。
トラブルは考えることができますが、不安は、ただ悩むだけです。悩めば悩むだけ、不安は大きくなります。
(中略)
僕が、悩むことと考えることの違いを聞いて、目からウロコが100枚くらい落ちたのは、有効な時間の使い方を発見したからです。
悩むとあっという間に時間が過ぎます。そして、何も生まれていません。「どうしようかなあ……」と堂々巡りを続けるだけです。
考える場合は、時間が過ぎたら過ぎただけ、何かが残ります。それが結果的に間違ったことでも、とりあえず、何かやるべきこと・アイデアが生まれるのです。
そして、その何かをしている時、不安は少しおさまるのです。引用元: 活字中毒R。.