「制約」が創造性を育む。
脳とは無限に近い可能性をもつ神経の集合体であり、「何に注意を与えないか」という選択に、実は多くの時間とエネルギーを費しているということだ。
その結果、効率性を重視すると、創造性が犠牲になる。われわれは通常、散文的に考えており、象徴的で詩的な思考は行っていない。そして、予期せぬ障害物、簡単には乗り越えられないハードルに行き当たって初めて、認知の連鎖がゆるめられる。それによって、無意識の中にかすかに光る、普通では考えつかないつながりに至る新たな道を発見することが可能になるのだ。
このことは、詩の形式がいつまでも廃れない理由を説明している。ソネットという形式があるおかげで、より大局的な思考が行われ、平凡な連想を超えた、オリジナルな詩が生み出されるのだ。きっかり3音節で韻を踏んでいる言葉を見つけたり、弱強格に合う形容詞を思いついたりしなければならないおかげで、詩人はありとあらゆる予想外の連想に出合うことができる。
ポール・ヴァレリーが言っていたように、「芸術が固有に備える制限によって、その想像が鈍ってしまうのではなく刺激される時、人は詩人となる」。彼らは、束縛に進んで入りこむことによって、拘束を超えているのだ。